Café Sport & Body > Books > 『オリンピック・スタディーズー複数の経験・複数の政治ー』

『オリンピック・スタディーズー複数の経験・複数の政治ー』

清水 諭編 せりか書房

本書紹介記事より転載

古代ギリシアヘの憧憬から生み出されたオリンピックは、人種やジェンダー、ナショナリティの構築、資本主義といった「政治的なもの」と関わり続けながら発展し、いまや(そしてつねに/すでに)危機的状況に陥っている

2500円/A5判並製274ページ/ISBN4-7967-0257-1

内容一覧

はじめに

オリンピックと「政治的なるもの」清水諭

I 近代オリンピックを問い直す
1 「ロゴ」の身体――カール・ルイスの登場とビジネスツールとしてのオリンピック 清水諭
2 グローバル、ポピュラー、インターポピュラー――市場、国家、市民社会にまたがるオリンピック・スポーツ ヘニング・アイヒベルク
3 オリンピック男爵とアスレティック・ガールズの近代 田中東子

II ナショナルなものの想像力
4 アメリカン・イメージの構築――’32ロサンゼルス大会の前史とアメリカニズムの変容・持続 井上弘貴
5 規律化した身体の誘惑――ベルリン・オリンピックと『オリンピア』伊藤守
6 国家戦略としての二つの東京オリンピック――国家のまなざしとスポーツの組織 石坂友司

III プレ/ポスト’64
7 日の丸とモダン――’64東京大会シンボルマークとポスターをめぐって 前村文博
8 未来の都市/未来の都市的生活様式――オリンピックの六〇年代東京 石渡雄介
9 「東洋の魔女」――その女性性と工場の記憶 新雅史

IV アウターナショナルな経験
10 故郷/経路 人見絹枝の旅と遭遇――イエテボリ、アムステルダム、プラハ 有元健
11 レボルト’68――黒人アスリートたちの闘争とアウターナショナルなスポーツ公共圏 山本敦久
12 ボイコット 小笠原博毅

危機にあるオリンピック――「あとがき」にかえて 清水諭

『オリンピック・スタディーズ』基本文献一覧
オリンピック関連年表

執筆者紹介

新雅史(あらた・まさふみ)=1973年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程。スポーツ社会学、歴史社会学。労働とスポーツの節合(もしくはその隙間)を歴史的にあらわにすることを目指している。

有元健(ありもと・たけし)=1969年福岡生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校社会学部博士課程。専攻はカルチュラル・スタディーズ、身体文化論。現在、明治から昭和初期にかけての日本の身体文化についてスポーツと身体教育を軸として考察し、博士論文を執筆中。

石坂友司(いしざか・ゆうじ)=1976年生まれ。筑波大学人間総合科学等支援室準研究員。スポーツ社会学、歴史社会学。日本のスポーツ組織がどのような象徴的権力のもとで成立してきたのか、歴史社会学的な視点で研究しています。

石渡雄介(いしわた・ゆうすけ)=東京都立大学大学院都市科学研究科博士課程。専攻は都市社会学。クラブのオーガナイザー集団の一員としてパーティを企画・運営しつつ、その社会的世界を研究している。

伊藤守(いとう・まもる)=1954年生まれ。早稲田大学教育学部教授。社会学、メディア・スタディーズ専攻。90年代のメディア文化に注目してきた。現在はメディア経験を成立させた歴史的文脈と視角可能性の問題を考えている。

稲葉佳奈子(いなば・かなこ)=筑波大学大学院博士課程体育科学研究科。スポーツ社会学。フェミニズムの視点から「体育・スポーツ」文化を捉えなおし、その変容の可能性と不可能性について考えたい。

井上弘貴(いのうえ・ひろたか)=1973年東京生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程。政治理論、アメリカ政治思想史専攻。現在はインテレクチュアル・ヒストリーの観点から、20世紀アメリカの知識人たちが経験した栄光と挫折をおもに考察しています。

鵜飼照喜(うかい・てるよし)=1943年生まれ、信州大学教育学部社会科学教育講座所属。社会学(環境社会学)、環境教育担当。社会学の地域社会研究をベースに地域社会の環境問題の解明に取り組む。ダム問題や廃棄物処理問題を始め、災害論にも取り組み、それらを環境教育の題材として社会科的環境教育論の構築を目指している。

小笠原博毅(おがさわら・ひろき)=1968年生まれ。ロンドン大学PhD。現在神戸大学教員。社会学専攻、カルチュラル・スタデイーズ実践。移動の中で作られ移動によってのみ力を持つもう一つの近代――「パイレーツ・モダニティ」――の発掘に悪戦苦闘中。

清水諭(しみず・さとし)=1960年生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科体育科学専攻助教授。身体文化論、スポーツ社会学。身体を拠り所にした民衆の日常的実践を描きながら、そのトータルな知に迫りたい。「Cafe Sport & Body」をインターネット上に展開。

鈴木康史(すずき・こうし)=大手前大学人文科学部講師。近代日本の心身文化論、思想史。「スポーツを語るということ」そのものについての研究を構想中。身体について語られた諸言説の歴史と構造を実証的に読み解いてゆきたい。

鈴木慎一郎(すずき・しんいちろう)=1965年生まれ。信州大学人文学部教員。人類学、カリブ海文化の研究。『レゲエ・トレイン』(青土社)、『シンコペーション』(共編著、エディマン/新宿書房)。日本のレゲエ・ダンサーたちについて調べようとしているところ。

田中東子(たなかとうこ)=1972年横浜市生まれ。早稲田大学・武蔵大学非常勤講師。現在の関心は、ニューライトによる空間の再編制への抵抗として生じた文化研究生成期の文脈を知ることで、現在の政治・文化を考えるための言葉をどう創り出していくかという点。

坪内祐三(つぼうち・ゆうぞう)=1958年東京生まれ。早稲田大学卒。主な著書に『靖国』(新潮文庫)、『一九七二』(文蘂春秋)など。そろそろまた久しぶりに書き下しに取りかかろうと思っているのだが、日々雑文書きに追われてバタバタと……。

前村文博(まえむら・ふみひろ)=1973年生まれ。宇都宮美術館学芸員。研究領域は、日本の近代デザイン史。最近の関心は、亀倉雄策を中心に1950年代における日本のグラフィックデザイン界の動向について検証すること。

山本敦久(やまもと・あつひさ)=1973年生まれ。筑波大学大学院博士課程在籍中。スポーツ社会学、カルチュラル・スタディーズ。スポーツや身体文化を通じて偶発的に形成される「裏」公共圏を模倣という観点から描き出す方法と理論を模索中。

ヘニング・アイヒベルク(Henning Eichberg)=1942年シレジア(現ポーランド領)に生まれた。大学で歴史学、ドイツ語学、文学を学び、ルーアにおける軍事工学史で博士号を取得(ボーフム大学)、76年にはインドネシアにおける身体文化に関する研究で大学教授資格を得ている(シュツットガルト大学)。現在は、デンマークのゲアリュウ・イドゥレットホイスコーレ(スポーツ民衆学校)に付属するスポーツ・身体・市民社会研究所(IFO)の研究員である。彼は、デンマークにおける対話的民主主義を体現しながら、民衆学校を育んできた独自の文化的コンテクストに派生する身体文化とその政治性に関心をもち、儀礼や祝祭、ダンス、体操、スポーツ、さらに協同組合運動などを歴史学、言語学、さらに民衆運動の視点から思考し、実践している。その超領域的な思考は、欧州をはじめとするさまざまな言語による多数の著作に表されている。最新作に、Eichberg, Henning. 2004. The People of Democracy: Understanding Self-Determination on the Basis of Body and Movement, Klimがある。

ページの上部に戻る